コラム

2016/07/02

まねる行為の難しさ(茨城・TI)

まねる行為の難しさ


▼時代に関係なく模倣や盗作など、いわゆるパクリといった行為を見聞きする。例えばイギリスのロックバンド、レッド・ツェッペリンが1971年に発表した曲Stairway to Heaven(和名・天国への階段)が盗作であると2014年に提訴された。少し前には東京オリンピック・パラリンピックの公式エンブレムについて盗用が疑われ、正式撤回した騒動もあった


▼初心者が技術を習得するために、まねをすることは悪いことではない。誰もが基本や模範を反復することから始め、いずれ自分の持ち味を見出していく。基本をまねることは悪ではないが、他人のオリジナルを自分の作品として発表するのは許されざる行為だ


▼私淑する作品や作風に敬意を払って表現するオマージュやパロディーが問題になることは少ない。一目で分かるものであったり、作者が公言していたりして元の作品に対する尊敬の気持ちが感じられ、楽しめる。パロディーが受け入れられている最大の理由は、誰でも分かり、面白さを共有できることにあるのだろう


▼情報が溢れている現代社会において、新しいものを作り出すことは難しい。だからこそオリジナリティーあふれるものに敬意が払われる。簡単に情報が得られる現代社会だからこそ表現者がコピー&ペーストを行えば犯罪となる。美術・工芸品であれば贋作者と呼ばれ、論文や記事であれば社会的地位は剥奪される


▼7月に入り、新社会人も少しずつ仕事を任されるころだろうか。模範となるものを自身に落とし込み、昇華することが次のステップにつながる。まねるだけの行為は絶対にしてはいけない。(茨城・TI)


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