コラム

2016/07/12

安心あってこそ語れる未来(山梨・MK)

安心あってこそ語れる未来


▼甲府市郊外に設置されるリニア中央新幹線の新しい駅の周辺をどう整備するか、山梨県が検討中だ。駅周辺と近郊を「環境未来都市」にすることを目指し、検討委員会で議論している


▼委員会への取材を重ねていると、これまであまりなかった視点が出てくるようになった。安心や災害への備えである。駅周辺には駐車場や観光施設、公園などが想定されているが、検討する上で、安心や災害対応という視点をもっと反映させるべきという意見だ


▼駅の計画地区は優良農地。移転を余儀なくされる農家などが多い。移転する人たちが安心して次の場所で生活や仕事ができる、そういう計画であることが第一だと地元から選ばれた委員は訴える。渋滞を心配する声もあり、地元住民がリニア開業後も安心して暮らせる環境の整備を求める意見も多い


▼駅前であるためホテルが必要との意見もある。だが、ホテルに期待しているのは、観光の拠点となることだけではない。災害時に被災した人を受け入れる容量があり、実際にそれができること。ホテルに限らないだろう。整備される施設は、リニアによって訪れる人だけのものではない。その地域に住む人に安心を与える存在であってほしいということである


▼駅周辺に魅力的な施設を配置しようと、検討委員会での議論は続く。未来図を描き、夢や楽しさを語ることは大切だ。しかし、先日の会合で委員が強調していた。「大きな震災があり、考えが変わった。安心の上にこそ、夢、希望がある。このことに十分に配慮してほしい」。県ではリニア環境未来都市の整備方針を本年度中にまとめる。(山梨・MK)


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