将来像に隠し味（山梨・ＨＫ）

将来像に隠し味

▼大リーグ・マーリンズのイチロー選手が、ピート・ローズ氏の持つ大リーグ最多安打記録を日米通算で抜いた。米国ではあれこれ意見もあるようだが、日本人としては喜ばしい限りである。日本プロ野球記録を保持する張本勲氏は「こういう選手は向こう１００年間出ない」とコメント

▼大リーグは誕生から１４０年、日本プロ野球は80年が経過した。１００年後の22世紀初頭、類い稀れ（たぐいまれ）な日本人選手が大リーグで活躍している姿を想像するのは楽しいことだが、実際に目の当たりにできるのは、今を生きる人ではほんの一握りだろう

▼次の世紀の話はいささか大げさだが、地方自治体は近い将来を見据えた公共施設の総合的な管理計画策定に迫られている。増加の見込みが乏しい人口動向、それに伴う税収減などマイナス要素ばかりを抱えつつ知恵を絞らなければならない。ただ単純な数合わせだけではなく、将来のビジョンが映し出されていなければならない

▼われわれも然り（しかり）。日々の生活の中で将来像を描く。現状に不満を持つ皆さまもおいであろうが、今より悪くならなければ良しとするのも一つの考え方。おぼろげながら頭に浮かぶ将来の姿は、波風立たたない平凡な生活かもしれない。そこへ行政が目指すまちの姿がいかに重なり合うか

▼日本人に当たり前となったカレーライスは平凡の象徴と言える。そこにわずかながらに感じられる〝うま味〟が加えられると、またうれしいではないか。政策も同じこと。ちなみに、かつてイチロー選手が毎朝食していたカレーライスには、隠し味としてインスタントコーヒーが入っていたそうだ。（山梨・ＨＫ）