コラム

2016/08/10

宝の山は意外と身近に(茨城・HS)

宝の山は意外と身近に


▼今では当たり前のように定着したネーミングライツという制度。日本での公共施設への初導入は2003年だという。調布市の東京スタジアムが味の素と契約し「味の素スタジアム」(味スタ)に変更された。味スタの名称は現在も使用されており、サッカーファンの間ではFC東京のホームスタジアムとして何の違和感もなく使われている


▼契約金額は最初の5年間が12億円、次の6年間が14億円、そして現在の5年間が10億円と変動しているが、行政からすれば黙っていても安定した収入があるのは喜ばしいこと。現在ではスポーツ施設だけでなく文化施設や公共交通、ダム、橋梁、県有林にまで広がっている


▼先日、名古屋市の公衆トイレのネーミングライツに清掃業者が名乗りを上げたというニュースが流れた。命名権料は0円。その代わり、清掃は業者が負担する。少しでも支出を抑えたい市と自社をPRしたい業者の思惑が一致した格好だ。こうしたWin-Winの契約はもっと増えても良いのではないだろうか


▼もちろん、弊害がないわけでもない。契約期間が終われば名前が変わるため、あまりに頻繁に変わってしまってはいちいち覚え直さなければならない。また、契約企業の不正が発覚すれば施設のイメージダウンに直結する。導入する際にはそうしたリスクも勘案する必要もある


▼各自治体は限られた財源で最大限の効果を発揮できるよう知恵を絞っている。地域によってはなじまないところもあるだろう。ただネーミングライツは既存施設を利用すれば導入が可能だ。宝の山は意外と身近に眠っているのかもしれない。(茨城・HS)


厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら