コラム

2016/09/08

いつか笑えない時代に(東京・KK)

いつか笑えない時代に


▼国土交通省と吉本興業グループが手を組んで建設業の魅力を女性や若者に発信する取り組みが始まった。今後、本格的に進むキャンペーンを通じて新たな層にまで建設業の魅力を広める効果が大いに期待される


▼8月中旬に公開で行われた若手人気お笑い芸人による「おうちクラブ」の結成お披露目会見には、夏休み期間中ということもあり多くの親子連れが参加した。「やってみたい職業は左官です」「やってみたいのは解体です」。若手芸人が建設業で働いてみたい職種を次々に口にする中、最後に順番が回ってきた芸人が「やってみたいのは経理です」と発言すると、会場に大きな笑いが起こった


▼一般的なお笑いとしては見事な〝オチ〟といえるが、実際には建設業界で経理は重要な役割を担う。新入社員研修の一環で建設業経理事務士特別研修を行っている建設会社も多い。また、建設業経理検定が在学中でも受験できる資格であることを周知するポスターを工業高校に掲示する動きも進んでいる


▼会社に利益をもたらすためには原価管理が重要で、現場の人ほど高い意識が求められる。生産性向上が不可欠になる中、今後は関係者全員が原価管理の重要性に着目する必要があるだろう


▼お披露目会見に参加した子どもたちの目的は目当ての芸人に会うことだったはずだが、作業着に身を包んだ姿を見て建設業に関心を持った可能性もある。建設業界の構造を正しく理解した上で、「建設業で経理をやってみたい」という若者が増えてくれば、今回の〝オチ〟は笑えないものになる。そんな時代が来ても面白いと思うのだが。(東京・KK)


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