コラム

2016/09/16

スポットは当たらずとも(茨城・KN)

スポットは当たらずとも


▼学生時代に演劇に打ち込んでいたこともあり、休日に母校の演劇部へ指導に訪れる。あまり知られていないことだが、野球やサッカーなどと同様に演劇にも他校としのぎを削る大会がある


▼全国約4000校の野球部が甲子園を目指すように、約2000の演劇部が12枠しかない全国大会の出場権を手にするため活動している。いわゆる「名門校」が存在する一方で、部員1人で廃部寸前の学校が突然全国大会で最優秀賞を獲得することもあり、波乱に富んでいて面白い


▼ただ、演劇はスポーツと違い元来勝ち負けを競うものではない。審査の結果、上位に進出した作品はクオリティが高く洗練されているものばかりだが、一方で受賞を逃した作品が無価値であるかといえば決してそうではない。あくまで演劇は観客のために行うもの。審査結果は芳しくなくても観客に強い印象や大きな感動、満足感を与えてくれる作品も数多くある。演劇に限らず、文化をリードするのは華やかな舞台でスポットライトを浴びる人たちかもしれないが、根元を支えるのは日ごろスポットの当たらない多くの人たちだと思う


▼例年、優れた仕事を成し遂げた業者が発注者から表彰を受ける。栄誉に浴した業者の日ごろの努力と高い技術に敬意を表する一方で、それ以外の多くの存在にも思いを馳せる


▼国家の社会資本を維持するために建設業者の存在は欠かせない。全ての業者の施工にスポットが当たるわけではない。しかし、彼らの誠実な仕事が人々の生活を支えている。心から感謝するとともに、正当な評価が得られることを願ってやまない。(茨城・KN)


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