コラム

2016/09/28

熊本城の復旧へいざ匠(群馬・TF)

熊本城の復旧へいざ匠


▼4月14日夜から16日未明にかけて発生した熊本地 震。内陸型地震でマグニチュード6・5以上の地震が時を空けず二度も発生した記録はなかった。甚大な被害を受けた益城町では、倒壊した家屋の多くが今もまだそのままの状態となっている。一方で仮設住宅の建設が急ピッチで進められ、新たな暮らしの再建に向けて復旧プランが始動した


▼熊本のシンボル熊本城でも石垣が崩れ、屋根瓦は剥がれ、しゃちほこは落下するなどの深刻な被害を受けた。復旧には少なくとも数十年を要し、費用は数百億円と試算された。復旧整備プランの策定が急がれるところだ


▼熊本城は加藤清正が築城。石垣は上部の勾配がきつくなる「武者返し」と呼ばれる形状になっているのが特徴だ。有名な話では、1万4000人の大軍で攻めてきた西郷隆盛軍を撃退したという。同城では1998年から復元整備計画を推進していただけに、たくさんの方が今回の被害に心を痛めていることだろう


▼東日本大震災で石垣が崩落した小峰城(福島県白河市)では、鹿島建設(東京都港区)・鈴木建設(福島県白河市)JVが約1万個の石垣を積み上げ修復した。弘前城(青森県弘前市)では、石垣が外側に膨らむ「はらみ」が見られた。石垣修復のために天守を約70m移動する曳家工事を我妻組(山形県米沢市)が行っている


▼熊本城は、国指定重要文化財であるため工法に制限がある。技術者の不足や財源の確保など課題は山積みだが、1日も早い修復が望まれる。全国の建設会社が誇る匠の技術と伝統的な技能を結集させ、再び熊本城の雄姿が見られることに期待する。(群馬・TF)


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