コラム

2016/11/04

ものづくりは歴史づくり(茨城・HS)

ものづくりは歴史づくり


▼中国の世界遺産・万里の長城は、古いもので紀元前3世紀ごろから建造され、総延長は地球半周を上回る約2万1000kmにも及ぶとされる。多くの人が連想するのは、明代の立派なレンガ造りのものだろうか。いかにも城壁といった感じで、山の尾根に沿ってどこまでも続いていく景色はあまりにも壮大だ


▼以前は宇宙から肉眼視できる唯一の建造物と言われたこともあった。後に宇宙飛行士に正式に否定されたが、思わず信じてしまう説得力がそこにはある


▼歴史と規模が並外れている故に、維持に掛かる費用も尋常ではないことがたやすく想像できる。中国では、コンクリートで修復された長城の写真がネット上に出回り、話題になっているという。レンガの歩道はただの平坦な道となり、かつての勇姿は見る影もなくなってしまった


▼そもそも万里の長城は、歴代王朝が外敵の侵入を防ぐために建造したもの。役割を終えた現代では観光名所の一つに過ぎない。ドライな考え方だが、コストが抑えられ、合理的といえば合理的。これが日本であれば、計画が浮上した段階で各方面から非難を浴びるだろう


▼歴史ある共有財産を保存することは、先人の偉業をたたえ、敬意を表すことだ。その根底には感謝の気持ちがある。現代に生きる人々は過去に生きた人々が造り上げたものを活用し、そして未来に生きる人々へ受け継いでいく。建設業に携わる者は、そうした崇高な理念の体現者であり、後世への伝達者でもある。今後とも、ものづくり=歴史づくり、という高いプライドを持って、これからも地域の安全安心に貢献してほしい。(茨城・HS)


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