コラム

2016/11/09

時を経た熟成の価値(東京・KK)

時を経た熟成の価値


▼フランス・ブルゴーニュ地方のボジョレー地区で造られる新酒ワインであるボジョレー・ヌーボーの予約受付を知らせるチラシが目に付くようになった。ことしの解禁日は11月17日。時差の関係で世界一早く解禁日を迎える日本では、11月の風物詩としてすっかり定着した感がある。普段ワインを飲まない人でも、これだけは毎年購入しているという人も多いのではないか


▼ボジョレー・ヌーボーは短期間で飲み頃になるように特殊な製法で醸造される。渋みがなく比較的飲みやすいワインとなっているため、重厚なワインとは違って、ついつい飲み過ぎてしまうのが難点である


▼以前はボジョレー・ヌーボーをわざわざ飲むことはなかったが、数年前にとある店で飲んでからは考え方が変わり、毎年必ず飲むようになった。搾りたての新酒ならではのフレッシュで華やかな味わいを楽しむようにしている


▼通常のワインは熟成年月により味わいが変化する。生産者が丹精込めて作ったワインは、収穫時のブドウの品質にもよるが、品質管理を徹底することで価値の高いものに変わっていく。特に何十年も寝かせたヴィンテージの赤ワインは価値が上がり、驚くほど高額で取り引きされる


▼ワインを造る上でまず重要になるのはブドウの栽培。品種や土壌、気象条件によって品質は全く異なるものの、醸造家は期待を込めてブドウを立派なワインに育てていく。ワイン自身は瓶の中で呼吸をしながら周辺環境に応じて熟成を進める。その結果、想像以上に価値が上がるワインが生まれることもある。ワインづくりと人づくりには共通点が多い。(東京・KK)


厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら