コラム

2016/11/15

河野悦子に学ぶプロ意識(茨城・KS)

河野悦子に学ぶプロ意識


▼この10月から始まった、出版社の校閲部が舞台のテレビドラマ 「地味にスゴイ!」が面白い。華やかなファッション誌の編集者を夢見て、採用面接を受け続ける河野悦子。7回目の挑戦でようやく入社が決まったが、配属先は校閲部だった


▼校閲は原稿の誤字や脱字を正すだけでなく、言葉の使い方や内容が矛盾していないかなども見る重要な職種。いわば出版社の〝最後の番人〟である。弊社水戸支局にも校正者がいる。連日膨大な文字にくまなく目を通し、入札情報を修正する校正者には感謝することしきりだ


▼かつて新潮社の校閲部が、その仕事ぶりで〝神校閲〟と話題になった。ある作家が小説で「まぶしいほどの月光」と書いたとき、返ってきた原稿に「現実の2012年6月9日も満月と下弦の月の間なのでOK」との記入があったという。ドラマでもこういった究極のプロ意識が描かれている


▼河野は大御所ミステリー作家の初校を担当した際、ある橋の名称が一つだけ実名と異なっていたことに違和感を覚える。「この部分にひっかかる読者が続出してネットで炎上したらどうなるか。作家のミスでなく校閲のミスとなったら大変」と事実確認に自ら出向く。たかが一カ所、一文字だが多くの人々が目にする出版物。一つの過ちがその作品の品質、そして会社全体の信用を落とすことにもなる


▼校閲の細かい気配り、注意力は全ての仕事に通じることだと思う。特に安全衛生面では「もしも」や「かもしれない」といった心掛けは欠かせない。河野悦子の成長を見守りながら、誇り高く熱いプロ意識を大いに学びたい。(茨城・KS)


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