コラム

2016/11/18

秋から冬へ想うこと(茨城・YN)

秋から冬へ想うこと 


▼秋といえば紅葉。家族で紅葉狩りを楽しみ、虫たちが奏でる音楽会はなんとも言えない秋を感じさせる。りんごや柿、梨、新米を口いっぱいに頬張る子どもたち。秋は心深くに訴えかけてくる不思議な魅力がある。そして空。一年の中でも秋の空が一番美しい。白から青へ変化する模様は、まるで水彩画のようだ


▼茨城県の北部にある老舗の建設企業がこの秋、70年の歴史に幕を閉じた。長きにわたり地域の安全、豊かな暮らしを支えてきた偉大な功績に感謝するとともに、この先の50年、100年後も、その企業が残した実績を基に、地域が発展していくことを願いたい


▼建設業は今、少子高齢化の進展に伴う若手入職者の減少に加え、後継者問題も多くの企業が抱えている。将来にわたり社会資本の品質確保と適切な機能維持を図っていくためには、処遇の改善や多様な人材の活用など、さまざまな手段を講じて担い手の確保・育成に努めなければ、明るい建設業の未来は見えてこない


▼公共工事の低価格での受注で利益が生まれないという企業の声も多く聞かれるが、まずは人材確保と後継者問題を優先に解決したい。もしも、そのような理由で廃業や閉鎖ともなれば悲しい結末だ。これまで地域を支えてきた守り手を失うのは残念で仕方ない


▼ここに来て、朝晩がめっきり寒くなった。森の木や街路樹の葉が緑から赤や黄色へと変わり、少しづつ色あせ、やがて茶色へ。冬の訪れを予感させ、晩秋へと近づく。この秋廃業した企業の事務員さんが小欄の大ファンであったことを思い出すと、ひどく寂しい。悲愁(ひしゅう)の言葉しか今は思い付かない。(茨城・YN)


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