コラム

2016/11/24

くれぐれもご安全に(茨城・EM)

くれぐれもご安全に


▼公共工事の現場作業が最盛期を迎えている。茨城県は本年度、国の方針に呼応する形で早期発注を実施。東日本建設業保証㈱茨城支店のまとめによると、県土木部発注案件の9月末時点における請負金額は前年同期比112・4%という記録的数字となった


▼必要な社会基盤整備が推進されることは喜ばしい限りだが、気に掛かるのは労働災害。茨城労働局が発表した県内における9月末時点の労働災害発生状況によると、建設業における休業4日以上の死傷者数は251人。前年同期に比べ21人、率にして9・1%増加している


▼死亡者数に限ると前年同期比で2人減少しているが、それでも8人もの貴い命が失われた。全産業の死亡者数は18人。全体の4割以上を建設業が占めている。各団体、各企業が安全意識を高揚する取り組みを行っているが「危険な産業」という汚名を払拭(ふっしょく)するには至っていない


▼死傷者数を業種別に見ると、土木は59人で前年同期比5人増、建築は112人で6人増、その他は80人で10人増。1月と6月に発生した墜落・転落による死亡事故の被災者は、ともに職歴50年。生涯を懸けて建設業に尽くした故人を思うと、業界に携わる者として、ただただ悲しい


▼ある企業の安全大会で聞いた言葉が印象深い。「人間は経験から学ぶ生き物。事故が起きたとき、自分で起こしたミスならば身に付くが、当事者以外は他人事だと思ってしまう。ただしミスの中には取り返しのつかないものもある」。初めて起こしたミスが命を奪うこともある。冬季に入り凍結などに起因する特有の災害も発生する。くれぐれもご安全に。(茨城・EM)


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