コラム

2016/12/03

忘れかけていた大切なこと(群馬・TH)

忘れかけていた大切なこと


▼群馬に引っ越して初めての秋を迎えている。日々、車を走らせながら紅葉していく山々を眺めているのだが、壮観な光景に季節の移り変わりと自然の素晴らしさを感じずにはいられない


▼美しい山々に手招きされ、先日学生時代の友人を誘って浅間隠山に紅葉狩りに出掛けた。山頂まで90分前後かかる初心者向けの登山道だった。午前中に登山口に着き、意気揚々と登り始める。最初は足取りも軽く、紅く染まった葉を眺めながら登っていたのだが、初心者であるが故にすぐに疲れてしまい、ゆっくりと登ることにした


▼道中で老若男女とすれ違った。狭い登山道なので、どちらかのグループが譲らなければ通行が難しい。譲り譲られながら山頂に向かった。すれ違う人たちは必ずあいさつをする。「こんにちは」「すみません」などほんの一言。街中ではすっかり見ることのなくなった簡単なあいさつ。木々の紅葉や風の音、土の香りを楽しみに来たつもりが、いつの間にか同じ目的で集まった人達との交流を楽しんでいることに気が付いた。山頂に近づくにつれ、肩で息をしながら苦しそうに登る姿に「もう少しですよ」「頑張って」などとエールをくれる人もいた


▼やっとの思いでたどり着いた山頂の眺めはとても素晴らしく、言葉を失うほどだった。先に山頂に着いていた人や後から登ってきた人たちと簡単に話をしながら、人と人とのつながりを感じた


▼単純な一言のあいさつや、ほんのわずかな会話が心身を健やかにし、心地よい時間を提供してくれる。大自然の中で、忘れかけていた人として大切なことをあらためて実感した一日だった。(群馬・TH)


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