コラム

2017/01/14

当たり前に潜む影(山梨・HK)

当たり前に潜む影


▼ブラック企業を生み出す原因の一つにブラック顧客なるものが存在するとの説に興味を引かれた。サービス合戦の末に、客は値引きや時間外営業は当たり前と考えるようになり、それが叶わぬときには傍若無人(ぼうじゃくぶじん)に振る舞う。対応する側の企業は従業員に酷な労働を強いるという図式


▼学校に対して「都合が悪いから遠足の日程を変えろ」などと無理難題を押し付けるモンスターペアレントという新種も一昔前に登場。駅員に対して「打ち合わせの時間に遅れたから賠償金を払え」などの言いがかりはもとより、暴力事件に発展したとの報道も後を絶たない


▼かつて「お客様は神様です」との名台詞(せりふ)があった。そのころは不便を常としていた人々に、生活を豊かにする新製品やサービスは素直に受け入れられた。しかし物資やサービスが過剰となってからは「便利が当たり前」が常識となり、崇(あが)められた神客の心にも黒い影が差していったようだ


▼神は神でもこちらは神対応。もともとは企業の優れたクレーム処理を表したようであるが、今はさまざまな場面で使用されている。状況を把握して、感情に流されることなく寛大に対処する。大人のさらに上をいく優れた行動であり、物言いと言えようか。神様まではいざ知らず、せめて大人としての言動が今こそ必要なのではないだろうか


▼関西の私鉄において、乗客からのクレームに対し職場を放棄して逃げ出した駅員がいるとのニュースがあった。会社側がこの社員に処分を下すとの方針に対して、彼を擁護する書き込みも増えている。まだまだわが国も捨てたものではないと考えたい。(山梨・HK)


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