コラム

2017/01/26

車社会の将来を見据えて(群馬・TF)

車社会の将来を見据えて


▼東京から群馬に移住して1年が経過した。空気や水のおいしさ、自然の豊かさは気持ちに落ち着きを与えてくれる。特に変化が大きかったのは移動手段だ。東京では電車やバスなどの公共交通機関を利用していたが、今は全てが車となった


▼2015年の群馬県における人口100人当たりの自動車保有台数は68・39台。全国平均47・62台を上回り全国1位となった。保有台数と比例して自家用車通勤・通学率やガソリンスタンドの数、交通事故死亡者数などが多く、公共交通機関の輸送量などが少ないのも納得できる


▼多くの自治体では「コンパクトシティ」を掲げる。都市機能を高密度化し、徒歩や公共交通機関での移動がしやすい環境づくりを進めている。その背景には、交付金や税の特例もある


▼富山市では、郊外への人口拡散を防ぐために居住誘導策を全国に先駆けて開始した。駅や主要なバス停を中心に居住推進地区を設定し、1戸当たり50万円の補助金を支給した。また分散する居住エリアを同地区に集約する考えから、LRT(次世代型路面電車)などを整備し、駅前や中心街の再開発を進めてきた。しかし、郊外のショッピングモールはにぎわい、同地区外の宅地の売れ行きは好調で、狙いどおりの居住誘導には時間がかかりそうだ


▼都市部の騒がしさより地方の豊かさが好きで、車社会は便利だと感じていたが、高齢になれば車を運転するのは困難になり、中心地に転居するのも容易ではない。今はまだ目の前のことしか見えていないが、将来を見据えた人生設計を考えていかなければと昨年1年を振り返り、しみじみ思う。(群馬・TF)


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