コラム

2017/02/21

普及させたいタイムライン(茨城・EM)

普及させたいタイムライン


▼2015年9月に発生した関東・東北豪雨災害。鬼怒川の堤防決壊などにより甚大な被害を引き起こした災害を踏まえ、国土交通省は社会全体で洪水に備えるため、同年12月に水防災意識社会再構築ビジョンを策定。これに基づき、全ての直轄河川において20年度をめどにハードとソフト一体となった対策が進む


▼このリーディングプロジェクトとして位置付けられているのが鬼怒川緊急対策プロジェクト。船頭役を担う国交省下館河川事務所の里村真吾所長は、ハード対策はしっかり進めると断った上で「ハードだけでは防ぎきれない大洪水は必ず発生するという意識を、住民一人一人が持たなければいけない」と警鐘を鳴らす


▼意識改革を促すため、同事務所は沿川自治体などと協力し、活発に広報活動や防災教育を展開。この一環として、住民が自身の環境に合った避難行動計画を作成する「みんなでタイムラインプロジェクト」に取り組んでいる


▼洪水時、避難のタイミングや行動は、住む場所や家族構成などで変わってくる。里村所長は「高齢者が居れば初動を早める必要があるだろうし、避難先までの距離によっても違う。自分の住む地区の洪水リスクを知り、さらに洪水時に得られる情報と読み解き方を理解し、その上で自分に合ったマイ・タイムラインを作成することは有用」と話す


▼現在、管内2つのモデル地区で検討が進む。「将来的には取り組みを管内全域に広げたい。水防災意識社会の再構築のため、これまでの経験を全てつぎ込む」と里村所長は意欲をみせる。逃げ遅れゼロへ、一人一人ができる事から始めたい。(茨城・EM)


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