コラム

2017/03/01

気の毒なリーダーを待望(山梨・HK)

気の毒なリーダーを待望


▼熱狂的な相撲ファンを名乗るつもりはないが、何故か「萩原」のしこ名で初土俵を踏んだころから気になっていた。その力士「稀勢の里」が初場所で悲願の初優勝を飾った。新入幕までは稀にみる勢いだったが、その後73場所、大関昇進後31場所を費やした賜杯への道は、長く険しいものだった


▼十両、幕内と順調に駒を進め、最多の優勝回数を誇る白鵬の連勝記録を2度にわたり止めるなど、番付上昇に比例して期待度は次第に高まっていった。しかし、精神面のもろさとも伝えられているが、ここ一番で力を発揮することができず、優勝、横綱の夢に届かなかった


▼優勝が決まり、スポーツ紙に寄せた関取の父親、萩原貞彦氏の手記が目に留まった。とんとん拍子の出世は稀で、順調な相撲人生であるとわが子の活躍を振り返るとともに、気概に乏しくなった日本人に対し、伝統文化や様式美を具現化した相撲はそれを知らしめることが義務であるとして、さらなる精進が必要になる先を見据え〝気の毒〟との本音を吐露している


▼力士の最高位である横綱には技能ばかりではなく、品格が求められる。国に例えるなら横綱は大統領であり首相である。このところ海の向こうの大国や隣の国の大統領の報道が過熱している。国民を導く政策ばかりがとやかく言われているわけではない。その態度や言動への物言いである


▼前述の萩原氏は「横綱に上り詰めたときには、国家のため日本の伝統文化を伝承しなければならない」と、その役目の重さを綴って(つづって)いる。〝気の毒〟と思われるほどの責任を背負う気概があるや否や。厳しい目を持った国民でありたいものだ。(山梨・HK)


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