コラム

2017/03/07

田舎こそ日本の最先端(新潟・HT)

田舎こそ日本の最先端


▼内閣府が公表した高齢社会白書によると2015年10月現在の高齢化率は26・7%で、4人に1人が65歳以上である。さらに43年後の60年における高齢化率は40%にまで達し2・5人に1人が高齢者となる予測を示した


▼インフラ維持管理をテーマに開かれたシンポジウムで講演した福島県土木部県南建設事務所の吉田伸明企画管理部長は「私の担当する田舎こそ日本の最先端だ」と主張する。同事務所は、福島と新潟の県境の中山間地域に位置し、所管地域の高齢化率は15年時点ですでに49・9%、2人に1人が65歳以上だ。高齢化率は日本の40年以上先を走っていることになる


▼吉田部長が言う日本の最先端では、建設業者数が15年前の半数となり従業員数は6分の1まで減少した。インフラ維持管理や防災活動継続の危機であり「当たり前のことが当たり前にできなくなっている」と訴える。県南建設事務所の地域では品確法改正の3年前に除雪や道路、河川の維持修繕などを包括して地元建設業者と契約するモデル事業をいち早く導入し、維持管理体制構築に取り組んでいる


▼たとえ今から急激なベビーブームが到来しようとも社会で活躍するまでに20年ほどかかる。少子化が進行している以上、しばらくは労働人口が減少し、高齢化していくことは避けられない


▼最先端とは明るいものとは限らない。車が空を飛び、仕事や家事をロボットが代行する時代よりも高齢化社会は現実的な未来だ。当たり前のことが当たり前にできなくなる前に、まずは田舎に目を向け対策を練ることも将来の日本の課題解決につながるかもしれない。(新潟・HT)


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