コラム

2017/03/22

あらためてご安全に(群馬・OS)

あらためてご安全に


▼あっと思ったときには遅かった。車は目の前のプリウスの側面に突っ込んだ。人生初の交通事故。青くなり手が震えた。事故が起きた原因は明らか。左右の安全確認を怠ったことだ。交通量がほとんどない交差点。いつものように車は来ないだろうと、ろくに周りも見ずに交差点に進入。そこにスピードに乗った車が走ってきた


▼さほど強くは当たっておらず、互いにけがはなかった。過失割合はこちらが8割。安全確認さえしていれば、と何度も悔やんだ。そして冷静になって心底思った。生きていてよかったと


▼建設工事の現場で現場監督がこんなことを言った。「安全に仕事をするには、まずはコミュニケーションから」。管理する側とされる側が良い関係を築くことで、安全作業への指導がしやすくなるという


▼建設業に危険はつきもの。長年にわたる経験などから、作業で注意すべき点や作業マニュアルは広く共有されている。どこに危険が潜んでいるのか分かった上で、回避する行動をとらせる。「いかに言うことを聞いてもらうか」が重要で、それができれば大きな事故はまず起こらないという


▼ただ現場にはさまざまな人が集まる。管理者より作業員が年上の場合など、注意しにくいこともあるだろう。厚生労働省によると、事故につながった不安全な行動はベテランになるにつれ増える傾向にある。「若造の言うことなど」「これくらい大丈夫」。慣れれば慣れるほど怖さは薄れ、甘い考えが優先されるようになる。悲しむ人がいる。一生を棒に振る前に、もう一度安全と真摯に向き合ってほしい。生きていてよかったと思えるうちに。(群馬・OS)


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