コラム

2017/03/30

音楽は誰のもの(群馬・TH)

音楽は誰のもの


▼日本音楽著作権協会(JASRAC)が音楽教室などで楽曲を使用する際にも著作権料を徴収する方針を打ち出したことが話題となっている。お手本で楽曲を弾いたりピアノなどの練習をしたりする行為をコンサートや演奏会と同じとみなし、著作権料として授業料の最大5%の支払いを求めている


▼それに対して、ヤマハ音楽振興会などの大手7企業・団体が音楽教育を守る会を結成。楽曲の練習を演奏会と同じ扱いにするのは納得ができないとしている


▼そもそもJASRACはどういった団体なのか調べてみると、公式ホームページに、その事業の目的を「音楽の著作権を保護し、あわせて音楽の著作物の利用の円滑を図り、もって音楽文化の普及発展に寄与すること」としている。前半部分の著作権の保護の観点から見れば、今回の要求の大義名分となり得るのかもしれない。しかし、後半の音楽文化の普及発展の部分を考慮すると矛盾を感じずにはいられない


▼肝心の音楽制作者側からの意見をみてみると、宇多田ヒカルさんをはじめ、さまざまな声があがっている。JASRACを後押しする声は皆無で、ほとんどが今回の事を行き過ぎだとし、学びへの障壁となることを危惧している


▼最近はインターネットから楽曲を試聴したり購入するのが一般的になった一方で、不正ダウンロードなど著作権を無視した行動も問題になっている。JASRACの事業目的である著作権の保護は提供する側にも楽しむ側にも必要だ。しかし、音楽を学ぶという行為にまで著作権を求める今回の解釈は、人々を音楽から遠ざけてしまうのではないだろうか。(群馬・TH)


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