コラム

2017/04/12

時を超えた再開(山梨・SA)

時を超えた再開


▼過去に集めた新聞スクラップが見つかり、その紙面で思わぬ人と再会した。弊紙のインタビュー記事「私の50行」で過去に掲載された団扇(うちわ)職人の圷総子さん。日本経済新聞(日経)の2012年8月に掲載した「文化」というコーナーで圷(あくつ)さんが紹介されていた。実家の戸棚で偶然発見し驚いた


▼スクラップは5年前の日経で「日本のモダンホテル十選」という連載があり、それを目的に集めていた。関東大震災を無傷で耐えた帝国ホテルや箱根の富士屋ホテル、軽井沢にある三笠ホテルなどを紹介していた。圷さんの記事はその連載の隣で扱ったコーナーに載っていたのだ。「私の50行」は茨城県の常陸太田市で2年前に行った。スクラップが残っていたことは奇跡か偶然か


▼ジャーナリストの池上彰氏は著書の新聞勉強術で「自分でも気付かない自分自身の関心は、デジタルでは決して発見できない」「スクラップは新たな発見を与えてくれる」とつづっていた。関心事に併せて、偶然の再会を果たせた新聞の力に思わず天を仰いだ


▼弊紙は国や県、自治体の優良工事や現場の安全、先進技術などを各特集面で取り上げている。各社の若手技術者がこうした先輩方の功績を、過去の紙面を見て技術を継承する一助になったとしたら、つくり手として大変うれしい限りである


▼新聞の拡張営業で企業訪問したときの話。お客様から新聞の活用方法について問われたことがある。工事発注情報や入札情報の速報性を強調した。しかし、業界の輝かしい出来事を未来に伝えたり、前述した時を超えた再会にも巡り合える。新聞が持つ価値をあらためて再認識した。(山梨・SA)


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