コラム

2017/04/20

技術力を生かすも殺すも(群馬・TF)

技術力を生かすも殺すも


▼実家に泥棒が侵入した。幸い両親は寝ており、別の部屋に貴重品などが置いてあったため危害は加えられず、現金のみ持ち去られた。朝起きた両親は財布を見るまで泥棒に入られたことに気付かず、プロの犯行に驚愕(きょうがく)したものだ


▼侵入の手口はこうだ。鍵をかけ忘れたキッチン横の窓を開けてリビングに侵入。財布や引き出しの封筒を手際よく物色、クレジットカードや通帳などには目もくれずに立ち去った。警察は約5分の犯行ではないかと推測


▼キッチン横の窓は2階部分に相当し、人が入れるサイズとは考えていなかった。隣接する民家との間は数mしかなく、猫が通れるほどのブロック塀があるのみ。公道とは面していないため油断して留守にする以外は施錠をしていなかった


▼警視庁によると年々減少傾向にあるものの、2015年の都内における侵入窃盗認知件数は6324件。家人などの不在時を狙う空き巣が40・6%で2565件、次いで閉店後の店舗に侵入する出店荒らしが21%で1325件となっている。場所別の発生状況は住宅が54・8%を占めており、うち一戸建てが23・4%、3階建て以下および共同住宅、テラスハウスなどが21・8%、4階建て以上の中高層住宅が9・6%


▼窓の前には母の性格から炊飯器のほか、さまざまな食品が積み重なっており、泥棒はそれらを丁寧に移動し、出ていく際はまた元に戻していったという。犯人の几帳面な性格、迅速さ、丁寧な仕事ぶりには腹立たしさとともに悔しさをも感じる。技術者の不足に嘆く業界が多い中、その技術力を生かせる環境はいくらでもあったのではないかと。(群馬・TF)


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