コラム

2017/04/22

きれい好きでありたい(茨城・EM)

きれい好きでありたい


▼「女子かっ!」。中学生の娘がわが家へ来た際に放った第一声。単身赴任が4年目に突入してもなお、清潔さを保った室内。物が少ないこともあるが、掃除機に加え、執拗な粘着クリーナー作業により創出された塵(ちり)一つない空間。手料理の放棄と引き換えに得た汚れ知らずの台所。いまだ敷金の全額返金が可能であろう状態を維持している


▼ついこの間まで小学生だった娘。彼氏の部屋で恋を語らったこともなかろうに。あたかも男性の部屋は雑然としているという、根拠なき固定観念にとらわれた蔑視的な発言はさておき、常々きれい好きでありたいと思っている身にとっては大いなる賛辞


▼記憶はおぼろけだが、老いをテーマにしたテレビ番組だったと思う。「どんなに年を取っても、せめてお部屋だけはきれいにしておきたいの。人間らしさというか、まだ大丈夫だってことを確認できるから」。年を重ねた婦人の言葉。以来、部屋のありさまを、心の状態を計る物差しにしている


▼厚生労働省が発表した昨年1年間の労働災害発生状況(2月速報)によると、建設業の死傷者数は1万4398人。284人もの尊い命が失われた。工事現場において作業スペースがきれいか否かは生命に直結する。老いも若きも、血液型がAでもBでも、4S(整理・整頓、清掃、清潔)に努めることはイロハのイ。あらためて現場を見渡し、改善できることはないか確認してほしい


▼こんな感じの原稿を書きなぐったまま家に帰る。部屋は相変わらずきれいだ。洗面台の前に立ち、無精ひげまみれの男に向かい呟く。「身の回りの前に、まず身なりか」。(茨城・EM)


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