コラム

2017/05/10

あいさつしてもいいですか?(長野・HI)

あいさつしてもいい?


▼新年度がスタートし、通学路に真新しいランドセルを背負った愛らしい小学1年生が通学する姿が見られる季節となった中、ある建設会社で現場代理人を務める男性から聞いた話だ。「現場が小学校に近い場合は『子どもにあいさつしてもいいですか?』と事前に確認しているんです」


▼言葉の意味が理解できないでいると、学校から発注者である市に「工事現場の人から声を掛けられて、不安になる児童がいるので話し掛けないでほしい」と電話で要請があったんですと理由を明かした


▼子どもたちは親や先生から「知らない人から話し掛けられたら、話したり付いて行かないように」と言われているのだろう。しかし面識がなくても「おはよう」「こんにちは」は日常のあいさつで交わす言葉だし、知らない大人かもしれないが、工事現場という固定された場所で仕事をしていて、建設会社の看板も掲げており、どこの誰かはすぐに分かることだ


▼なぜ先生は児童に、親は子に「工事現場の人たちは大丈夫だよ」としっかりと説明できないのか。なぜ工事が安全な通学路を整備するために行われていることや、こうした現場で働いている人が、人目を避ける不審者から子どもたちを守っている抑止効果もあることを説明できなかったのか


▼そして言われた側の建設会社である。「それでいいんですか?」納得できない表情で男性に言ってしまった。発注者である市から要請があったわけだし、不安になる子どもがいるのであれば仕方がないと男性は話す。それにしても「あいさつしてもいいですか?」という問い掛けは…。やり切れない思いだけが残った。(長野・HI)


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