コラム

2017/05/17

樹齢2000年の桜(山梨・TH)

樹齢2000年の桜


▼山梨県北杜市にある国指定天然記念物「山高神代桜(やまたかじんだいざくら)」は満開だった。観光客が全国から訪れているため、桜までの道路が渋滞に。1時間近く掛かったが、見る価値がある桜と感じた。神代桜は、樹齢約2000年とされるエドヒガンザクラで、高さ約10m。根元の幹回りは約12mと、まさに威風堂々。「三春滝桜(みはるたきざくら)」(福島県)、「根尾谷淡墨桜(ねおだにうすずみざくら)」(岐阜県)とともに日本三大桜と呼ばれている


▼神代桜の周りは柵で保護されており、木に触れることはできなかった。枝も多くの支柱で固定されていることから、年配の観光客が発した「人に生かされている桜」との一言が印象に残る。この桜を再生するため、多くの人が取り組んできた


▼神代桜は1948年(昭和23年)に「3年以内に枯死する」と宣告されたが、先人たちは再生の道を選んだ。近年の詳細調査の結果、樹勢が衰えたのは「根圏の悪化が影響」と考え、大規模な土壌の入れ替えや有用な土壌微生物により樹勢の回復に努めた。土壌改良工事は2002年度から4年間続いた


▼神代桜を見て、あらためて樹木医の必要性を痛感した。樹木の診断や治療、後継樹の育成、保護に関する指導を行う「木のお医者さん」の重要性を。樹木医には気象や土壌、自然環境など幅広い知識が求められる


▼山高神代桜の種は08年、全国各地の桜の種とともにスペースシャトルで宇宙に打ち上げられ、帰還後は花を咲かせた。この花の種から育てた苗木は、東日本大震災からの復興のシンボルとして被災地に植樹された。良いことから悪いことまで見てきた桜。2000年の時の流れを感じさせる。(山梨・TH)


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