コラム

2017/06/30

印象でなく本質を見て(茨城・KN)

印象でなく本質を見て


▼公園を散歩していると、前方に人だかりができていた。何事かと覗(のぞ)いてみると、男が大道芸を披露していた。こま回しや傘回しといった古式ゆかしい日本の芸。このご時世になかなかお目にかかれるものではないので、足を止めて眺めた


▼素人目にも難易度が高いと分かる芸を軽々と成功させながら、軽妙なトークで観客に話し掛けて飽きさせない。長い時間をかけて技術を磨いたのだろうなと思いを巡らせつつ、パフォーマンスを存分に楽しんだ


▼楽しい時間を過ごしたが、一方で一つ気になることがあった。男の「動画の撮影はご遠慮ください」という発言。禁止の理由は、失敗した動画を以前インターネットにアップロードされたことがあるからだという。どれほど修練を積んでも人間である以上、ミスを完全に無くすことは不可能だろう。もちろん失敗は失敗で反省する必要はあるが、失敗した様子だけを世間に広めるのはフェアではないと思う


▼残念だが世の中というのは成功よりも失敗、良いことより悪いことの方が注目を集めるもの。有名人の不用意な発言がメディアや人づての噂で拡大解釈されて独り歩きし、功績や人間性をまるで無視して批判される姿などは、見ていて気の毒になる


▼建設業においても、一部の不祥事が原因で過剰に悪い印象を持つ人がいまだに存在する。失敗は失敗として反省する必要はある。しかし本質も見てほしい。多くの建設業者は時間をかけて技術を磨き、社会のために真摯に働いているのだ。今日も額に汗して働く作業員を目にした。メディアや世間で作られたイメージではなく、彼らの汗の本質を見てほしい。(茨城・KN)


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