コラム

2017/06/08

冷めない情熱に行き場を(茨城・HS)

冷めない情熱に行き場を


▼アニメ界の巨匠、宮崎駿監督が引退を撤回した。長編映画の制作に向けて、スタジオジブリのホームページではスタッフの募集も行っている。公開は何年先になるか分からないが、ファンとしては朗報だ


▼取材帰り、車のラジオで引退のニュースを聞いた時はなんとも悲しい気持ちになったが、同時に、きっとそのうち撤回するだろう、と何の根拠もなく前向きになったのを覚えている。これまで何十年もアニメ業界に身を置き、何本もの作品を生み出してきた人が、そう簡単にやめられるはずがない。果たして予想は的中し、また待つ喜びを味わうことになった


▼以前、NHKの『プロフェッショナル仕事の流儀』という番組で、宮崎監督の仕事の様子を取り上げていたのを見た。細部へのこだわりや妥協を許さない姿勢はまさにプロそのもの。長年、第一線で活躍する理由を垣間見ることができた


▼そんな宮崎監督も、ことしで御年76歳。普通であれば、リタイアしてのんびりと自分の時間を大切にする年齢だ。それでもまた映画を作ると決めたのは、ものづくりへの情熱がいまだ冷めやらないからだろう


▼高齢化が進む建設業界では、さすがに宮崎監督のようにはいかない。だが、デスクワークやアドバイザーであれば、培ってきた経験は生かせる。高齢者の定義を70歳に引き上げ、健康な人がもっと活躍できる場を増やそうという動きもある。まだやれると思っても、年齢で諦めざるを得ない人も多い。働く意欲のある高齢者をそのままにしておくのは、なんとももったいない。ベテランの知恵や技術は何物にも代えがたいのだから。(茨城・HS)


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