コラム

2017/07/08

誇りを受け継ぐ(東京・CK)

誇りを受け継ぐ


▼10月に44回目となる技能五輪国際大会がアラブ首長国連邦・アブダビで開催される。毎回、日本からも数多くの技術者が派遣され、優秀な成績を収めている。過去には準優勝という成績を残したこともある。今回の大会では40職種45人の日本代表選手が選出され技術を競う。選手たちの活躍を期待したい


▼技能五輪国際大会は、国際的に技能を競うことにより、参加した国々と大会を開催した地域の職業訓練振興および技能水準の向上などを目的としたもので、隔年で開催。日本を含む約60の国と地域が参加しており、日本代表選手は前年の技能五輪全国大会優勝者が派遣されている


▼先日、国際大会に日本選手団の左官職種部門で出場する小谷野貴光選手(群馬県)のご両親と話す機会があった。小谷野選手は前々回大会の第53回技能五輪全国大会では準優勝、昨年行われた第54回同大会で見事優勝を勝ち取った


▼同選手は現場作業だけではなく、新潟県にある魚沼テクノスクールに1年間通っていたという。そこで最先端の技術に触れたことで、優勝につながったのだろうと話してくれた。しかし話を聞いていると、優勝の要因はそれだけではないと感じた。それは左官職人である父から職人としての考え方や生き方を何度となく叩き込まれており、職人としての『誇り』が育まれたことが最大の要因だと気付かされた


▼多くの業界で後継者不足が問題となっている。若者を育成しても辛いからと退職してしまうという話もよく聞く。技術の継承に目が向けられがちになるが、現場で生きてきた人たちの誇りの継承が重要なのかもしれない。(東京・CK)


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