コラム

2017/07/26

空を青くはできないが(茨城・EM)

空を青くはできないが


▼シンガーソングライター・椎名林檎さんは1998年のデビューシングル『幸福論』で「時の流れと空の色に/何も望みはしない様に」と歌う。梅雨の只中。工程の進度に頭を抱える現場監督も多かろうが、空模様だけはいかんともし難い


▼2015年9月に発生した関東・東北豪雨。鬼怒川の堤防決壊などにより甚大な被害を引き起こした災害を踏まえ、国土交通省は社会全体で洪水に備えるため、同年12月に「水防災意識社会再構築ビジョン」を策定。これに基づき、全ての直轄河川において20年度をめどにハード・ソフト一体となった対策が進む。これらの取り組みは都道府県管理河川にも波及し、各所で行われている施策の効果とともに、一翼を担う地域建設業にかかる期待は大きい


▼国交省がこのほど、ハザードマップポータルサイトを、より使いやすく改良した。「洪水」「土砂災害」「津波」の3つの災害に関する情報を、それぞれの図記号をクリックするだけで確認でき、自分が住む地域や今いる場所の災害リスクを容易に知ることができる


▼関東・東北豪雨で被災した茨城県の鬼怒川下流域では、台風による豪雨で河川の水位が上昇する時に、自分自身がとる標準的な防災行動を時系列的にまとめる「マイ・タイムライン」の取り組みが広がりをみせている。時間的な制約が厳しい洪水発生時に、行動のチェックリストとして、また判断のサポートツールとして、「逃げ遅れゼロ」への効果が期待されている


▼空の色を変えることはできないが、空の色から起こり得る事態を予測し、備えることはできる。一人一人ができる事から始めたい。(茨城・EM)


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