コラム

2017/08/11

嫌なことを引き継がない(茨城・KM)

嫌なことを引き継がない


▼体罰初体験は小学校4年生の時。卒業式の予行練習の最中に隣に座る友人と少し会話をした。教室に戻ると先生に呼ばれ、友人と2人で教室の前に並ばされた。そして、級友たちの前でいきなり平手打ちされた。全く予想していなかったので、踏ん張れずに倒れたことを覚えている。中学や高校も含めれば枚挙にいとまがない


▼元プロ野球選手の桑田真澄さんは、早稲田大学大学院に在籍していた2009年にプロ野球選手と東京六大学の野球部員、計約550人にアンケートを実施。体罰について尋ねると「指導者から受けた」は中学校で45%、高校で46%。「先輩から受けた」は中学校36%、高校51%だったという。そして83%が「体罰は必要」「ときとして必要」と回答をしたという


▼厚生労働省の研究班による資料「愛の鞭(むち)ゼロ作戦」によると、体罰や暴言により、子どもの脳に「萎縮」や「変形」が起きること、親子関係の悪化や精神的な問題が起きやすいことが国内外の研究で明らかになっている


▼埼玉県にある私立高校のサッカー部で、コーチが部員の生徒の顔などを複数回たたいたりする動画がインターネット上に投稿された。最終的にはコーチが解雇されたが、これをきっかけに体罰について多くの議論が交わされた


▼体罰容認派が多くいることに驚いたが、容認派の心理には「自分がやられたのだから、下の世代も同じ思いを味わうべき」との思いも隠れているとの解説があり、悲しくなった。自分が嫌だったのなら「下の世代にはそのような思いをさせないように」と、配慮する心をみんなが持てる時代は、いつか来るのだろうか。(茨城・KM)


厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら