コラム

2017/08/22

ホモサピエンスの世界は?(山梨・HK)

ホモサピエンスの世界は?


▼オンライン科学誌プロス・バイオロジーに「地球には870万種前後の植物や動物が生息していると推定。そのうちの約90%は未発見」との論文が発表されたのは6年前。その後新種が発見されているが、生態系の頂点に君臨するのは、われわれホモサピエンスに変わりはない


▼地球の主ともいうべき立場にいても日々穏やかではない。昨今では、港で発見されたヒアリの報道が世間を騒がせている。毒と針を持つ殺人蟻ともいわれ、日本にとってはありがたくない外来種である


▼外来種は、在来種をエサとし、またそのエサを奪い、交わることによって雑種を誕生させてしまう。生態系のバランスを乱すことはもとより、農林漁業へ悪影響も及ぼしている。海外との交流が盛んになり、人や物資が移動する中でやむを得ず日本に入り込む場合もあるようだが、密輸入やペット廃棄など、取り扱う者の強欲や安易な振る舞いが大きな要因との見方が強い


▼油断であったり、驕り(おごり)であったり、気の緩みであったりは、堤防に置き換えると蟻が通れるような小さな穴ともいえようか。穴はじわじわと広がり、ひび割れ、やがて決壊するとのことわざもある。天敵がいないからといって胡坐(あぐら)をかくのではなく、そんなときほど自らを捨て、謙虚に、周囲の声に耳を傾けて事に当たるのは上に立つ者の務めではないか


▼ちなみに、増水などに巣が襲われてもヒアリはお互いに組み合って筏(いかだ)をつくり難を逃れるらしい。女王アリも含めた一致団結した生存行動と推察されるが、転じてホモサピエンスの世界においても、そうあってほしいと願うばかりである。(山梨・HK)


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