コラム

2017/08/29

光あれば影あり(茨城・EM)

光あれば影あり


▼国土交通省の各地方整備局や出先機関で本年度の優良表彰が出そろった。受賞者各位に敬意を表するとともに、惜しくも叶(かな)わなかった皆さまには、悔しさを糧に研さんを積まれ、来年こそ大輪が咲くことを祈念する。光あれば影あり。先日もそんな場面に出くわした


▼キャプテン番号「4番」が涙ながらに投じた3度目のシュート。決まると同時に終了のブザーが鳴った。崩れ落ちる彼女に駆け寄るチームメートもまた涙。彼女たちが中学校生活の多く時間を捧(ささ)げた部活動の総決算はこの瞬間に幕を閉じた


▼中学校バスケットボール選手権県大会。4番は背番号にたがわぬ活躍でチームを県代表決定戦までけん引してきた。しかし前の試合で負傷。膝をがっちりとテーピングで固められた姿に、誰もが出場は叶わぬものと思っていた。核を欠いたチームは力及ばず、試合は一方的な展開。残り1分を切ろうという時、監督はコート上の全員を3年生に入れ替えた


▼4番は相手ゴールの下に立った。再開後、自陣に攻め込まれるが彼女だけは動かない。攻撃に転じ、ようやく届けられたボール。しかし、ままならない体から放つシュートは決まらない。それでもリバウンドを取ったチームメートはまた彼女へ。そして再びリングに嫌われる。ここで相手チームの監督が叫んだ。「フリーで打たせろ」


▼これが涙のシュートの顛末(てんまつ)である。彼女たちは敗れはしたが、あの瞬間、満場の脚光を浴びていた。早々に大会から姿を消したものの、会場の当番校部員としてタイムのたびコートにモップを掛けていた娘。最上級生となる来年へ、さらなる研さんを誓ったに違いない。(茨城・EM)


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