コラム

2017/09/08

期待膨らむ新システム(茨城・EM)

期待膨らむ新システム


▼新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)がこのほど、人工知能(AI)を活用してコンクリートに発生したひび割れを検出するシステムを発表した。老朽化するインフラへの対応が社会問題となる中、道路や橋梁などの点検作業の効率化につながる取り組みに期待が膨らむ


▼このシステムはNEDOのプロジェクトにおいて首都高技術、産業技術総合研究所、東北大学が共同で開発。デジタルカメラやスマートフォンで撮影した画像から、コンクリート表面のひび割れを高精度に検出できる。幅0・2㎜以上のひび割れを80%以上の精度で検出できるという


▼道路や橋梁などのコンクリート構造物の表面状態は、傷や汚れ、湿潤などの影響を受けることから、従来の技術ではひび割れの正確な検出が困難とされていた。新システムは収集した多数のコンクリート表面画像データをAIに学習させることにより、汚れや撮影状況の影響を受けにくい、ひび割れの自動検出を実現させた


▼点検→診断→措置→記録→次の点検というメンテナンスサイクルの構築に際し、小規模な自治体ではマンパワーや技術力の不足が大きな問題となっている。簡単かつ効率よく点検を行うことができれば、サイクル推進の大きな力となるだろう


▼大規模な自然災害が頻発する昨今。国民の意識がこの対応に向くのは当然のこと。しかし、老朽化するインフラは大きな脅威で、いつなんどきわが身に降りかかるかも知れない。2012年には笹子トンネル天井板落下事故もあった。惨劇を繰り返さないためにも、新システムの早期の実用化が望まれる。(茨城・EM)


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