コラム

2017/09/14

期待したい未来への投資(新潟・HT)

期待したい未来への投資


▼市町村合併で名称はなくなってしまったが、まだ合併前の小学生のころ、自分のまちの自慢を調べるという授業があった。他の市町村に負けない名所、名産など特徴を調べて発表するもの。よく採れる農産物や人が訪れるような史跡や名所などと並び、下水道普及率が1番という項目があった。当時は「1番でも地味すぎて自慢にならない」と、駅や体育館、大きな商業施設をつくってほしいものだと思った


▼当時の首長に話を伺う機会があり、なぜ1番になるほど下水道整備を進めたのか聞いたところ「これから新しく家を建てる人が、トイレを水洗化しないわけがない。道路と下水道を整備しておけば家が建ち、人が来る。人が集まれば、そこに店舗や会社が来て、産業や雇用が生まれる」。そのために力を入れたそうだ


▼下水道の効果は定かではないが、田んぼだったところには住宅が建ち並び、砂利道しかなかった場所にはバイパスが通り、大規模ショッピングセンターもできた。昔と比べ発展したといえる


▼近年、新潟県内の工業団地の分譲が急速に進み、ことしに入って分譲開始から20年近く経過した工業団地が完売した。用地不足により新たな工業団地を開発する動きも出ている。進出した企業の話では、東日本大震災をきっかけにリスク回避のため用地を探し、アクセスの良さを理由に進出を決めたという


▼人が集まり、増えるのには、必ず理由がある。まちの発展や企業の進出は、下水道や道路などの受け入れ態勢が整っていてこそ。新たな投資は難しい時代だが、人口減少社会の中で、未来への視点を置いた投資に期待したい。(新潟・HT)


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