コラム

2017/09/16

学びたい植田さんの柔軟さ(茨城・HS)

学びたい植田さんの柔軟さ


▼漫画家の植田まさしさんが「コボちゃん」の連載を始めたのは35年前のこと。実家で購読していた新聞に掲載されていたこともあり、毎朝読むのを楽しみにしていたのを覚えている。基本はほのぼの、時にはシュール。ネタの豊富な4コマ漫画は今も連載中だ


▼妹のミホちゃんが生まれ、コボちゃん自身も小学校に進学するなど、世間を騒がせたのは記憶に新しい。そんな植田さんが、また新しい挑戦をしてのけた。「漫画アクション」に掲載された読み切り「かりあげ子チャン」。自らの作品「かりあげクン」の女性版だ。違いは髪が少し長く、スカートを履いていることくらい。いたずら好きなのと話の展開はほぼ同じ


▼萌えなどとは無縁で、まるで読者に媚(こ)びない姿勢には恐れ入る。何より自分で作ったキャラクターをためらいもなく女性化するのがすごい。そういえば、「おとぼけ課長」もいつの間にか「おとぼけ部長代理」に昇進していた


▼伝統や慣習のように、人は長く続くものに対する変化を避ける傾向にある。取材先で「今までこれでやってきたから」と一蹴されることもある。どんなに無意味で合理性がなくとも、まるで「これ以上考えたくない」と言わんばかりに拒否される


▼しきたりを守るのはもちろん大切だ。しかしそれは単なる思考停止に過ぎない場合もある。植田さんも自分のキャラクターを無碍(むげ)に扱っているわけではなく、マンネリを避けたりもっと面白くするために試行錯誤を重ねているのだろう。それが漫画家として長く活躍している秘訣(ひけつ)なのでは。身近に不毛な習慣はないだろうか。植田さんの柔軟さから学ぶことは多い。(茨城・HS)


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