コラム

2017/09/23

思いを込めた公共事業(東京・KK)

思いを込めた公共事業


▼突然の訃報に驚いた。長島忠美(ただよし)衆議院議員が8月18日に亡くなった。2004年の新潟県中越地震発生時には旧山古志村長として全村避難を決め、その後の帰村、復旧・復興に尽力した姿を覚えている人も多いだろう。国会議員転出後は復興副大臣を務めるなど災害に対する知見を生かして活躍した姿が記憶に新しい。まだ66歳だった


▼村につながる全ての道路が寸断され、大規模な河道閉塞も発生するなど甚大な被害に見舞われた旧山古志村。ヘリコプターで全村民が避難せざるを得ない中、苦渋の決断を下し長島氏は村民の命と安全を守った


▼通常ならば5年必要といわれた災害復旧工事だったが、最新の工法を導入して工期短縮を図ったこともあって約2年3カ月での帰村にこぎ着けた。早期の帰村が実現したのは長島氏をはじめとする村民の思いが通じたから。長島氏は後に「思いを込めた公共事業が、この地域をよみがえらせてくれたことは事実」と振り返っている


▼合併により現在は長岡市となった旧山古志村は豪雪地帯の山間部にある。今から15年以上前、当初予算書を閲覧するために役場を訪問すると、長靴を履いた大柄の人物が雪かきをしていた。それが長島村長だった。役場の職員も皆温かく、駆け出しの記者にも優しく接してくれたことを昨日のことのように思い出す


▼中山間地域に未曾有の被害をもたらした中越地震は10月23日で発生から13年を迎える。被災地域は創造的復興を成し遂げた場所として、海外から視察に訪れる人も多い。長島氏の意志を継ぎ、記憶を風化させることなく災害の教訓を発信し続けることが重要だ。(東京・KK)


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