コラム

2017/09/27

技術継承どうする?(新潟・SS)

技術継承どうする?


▼公園の砂場で、子どもが小さなスコップを使い立派な家を作っていた。将来腕の立つ左官職人になれそう。国土交通省のデータによると、高度経済成長期の1975年には約30万人いた左官職人は、今では3万人と40年前の10分の1まで減少している


▼工事現場で働く人の中には、昔は左官屋だったとか、店の看板は左官屋だけど、左官以外の仕事がメーンになっている人も多い。時代とともに、外壁はサイディングボード、内装は壁紙、風呂はユニットバスになり左官屋が活躍する場所も減った


▼ところで左官は何故「左」なのだろうか?「右」の官は何なのか気になったので調べてみた。土をいじる職人を左官、大工のような木を扱う職人を右官とする説。左という漢字には「工」を含むことから建築技術職全般を左官と呼び、右という漢字には「口」が使われていることから事務職全般を右官と呼んだ説。鏝(こて)を左から右へ使うからなど諸説あり、本当のところはよく分からない


▼左官業に限らず、職人の世界は「見て覚えろ」の世界。厳しい職長の言葉や体力が必要な職場環境になじめず若手が去っていき、人材が定着しない企業も多い。建設経済研究所によると、左官業に就労している人の平均年齢は53歳。60歳以上の就業者は全体の4割を占め高齢化が進んでいる


▼専門性の高い業種では、必要な技術を持つ職人も序々に減少し、人材不足が深刻化している。技術の伝承や若手職人のモチベーション維持など、企業としてのバックアップを真剣に考えなければならない。公園の砂場で遊んでいる子どもたちをスカウトしなくてもいいように。(新潟・SS)


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