コラム

2017/10/12

水防災への備えを(茨城・TI)

水防災への備えを


▼9月10日、関東・東北豪雨で決壊した茨城県常総市上三坂地区の鬼怒川左岸堤防で執り行われた水害記念碑の除幕式を取材した。神達岳志市長や石井啓一国土交通大臣などにより幕が外され、鏡面のような新しい記念碑に彫られた「決壊の跡」の文字を見たとき、多数の被災者を出した水害から2年が経ったと実感した


▼2年前、地元の常総市が、鬼怒川から氾濫した水にのまれていくさまをテレビ越しに見ているしかなかったことを記憶している。自身の生活もあったため、結局ようすを見に行ったのは、水害が落ち着いた後だった


▼決壊現場周辺に足を踏み入れたときのことはよく覚えていない。子どものころに過ごした街が泥にまみれ、変わり果てた光景に、どこか現実味が伴っていなかったのだと思う。最初に実感したのは、トイレの水がしばらく流れなかったことを聞いたときだ。東日本大震災でもライフラインが止まったことを思い出し、あらためて「地元が被災した」と感じた。それとともに、日ごろ当たり前に使っている水道や下水道、道路などのインフラにあらためて感謝した


▼除幕式で、神達市長や石井大臣が強調した「水防災意識社会の再構築」。鬼怒川緊急対策プロジェクトや減災対策協議会など、組織単位の取り組みが進んでいる。一人一人の意識はどうか。身近な人たちは、良くも悪くも水害を経験し、「水」への関心が高まったと口をそろえていた。自分も同じ感想だ


▼ことしは九州北部豪雨や秋田豪雨が発生し、関東地方では20日を超える記録的な長雨となった。これからも雨は降る。経験してから備えたのでは遅いのだ。(茨城・TI)


厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら