コラム

2017/11/10

求められるのは寛容さ(茨城・KN)

求められるのは寛容さ


▼友人が結婚したので、宅配便でプレゼントを送ると翌日「届いたよ」と連絡があった。当たり前に感じてしまうが、相手は130㎞以上離れた場所に住んでいる。1日で荷物が届くというのは、とてもすごいことだと思う。宅配業者の日々の努力に感謝する一方で、負担が心配になる


▼宅配業界の疲弊が叫ばれる中、一石を投じるような試みが始まった。衣類などを扱う通販サイトのロコンドが、配送メニューに「急ぎません。便」を追加した。発送翌日~3日後に届けるというメニューで、受け取る側のメリットは少ないように思えるが、希望者は想定より多かったという


▼政府が働き方改革を打ち出し、多くの企業が従業員の負担軽減に腐心している。だが、この問題の解決にはサービスを受ける側の寛容さも不可欠だと思う。企業は取引相手の要望が厳しいものでも、生き残るためには無理をして応え、仕事を獲得しようと努力する。しかし過剰なサービス合戦で業界全体が疲弊すれば、満足なサービスを受けることができなくなる。結局全ての人間の不利益となるだけなのだ


▼建設業界でも4週8休の推進など、労働環境改善に全力で取り組んでいる。だが建設業者の努力だけにこの問題の解決を頼るべきではない。工事を発注する側、公共工事の恩恵を受ける住民が要求するだけでなく、寛容さを持つことが必要だろう


▼いつの間にかきれいに整備された道路がある。これは当たり前ではない。施工業者の技術・心配り・努力の成果だ。感謝の気持ちと、彼らの苦労を思いやる気持ち、さらに寛容さを皆が持つことが、働き方改革には必要だ。(茨城・KN)


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