コラム

2017/11/28

わが子へ託せますか(茨城・EM)

わが子へ託せますか


▼出稿された記事の中に、見覚えのある名前があった。2年前、女性技術者・技能者の特集でインタビューした彼女。普通科高校を卒業後、鉄筋工の世界に飛び込み、1年経たないタイミングだった。言葉の端々からあふれる前向きな姿勢。取材時の人懐っこい笑顔から一転、作業で見せた厳しい表情が今も記憶に残っている


▼彼女が紹介されていたのは勤務する会社の安全大会の記事。優れた取り組みにより安全優秀賞を受賞したとのこと。「同期の子と、いつかお互い親方になれたらすごいよねって話しているんです」当時語った夢に向かいしっかりと歩んでいる様子。とてもうれしくなった


▼厚生労働省の調べによると、高校を卒業して建設業に就職した人の47・7%が3年以内に離職している。2014年3月の卒業生を対象に調査したもので、前年比は0・6ポイント減。年々改善傾向にあるが、それでも半数近くが辞めているという現実は重い


▼口下手な産業と揶揄(やゆ)されたのも今は昔。業界では建設の魅力を伝えるための取り組みが活発に展開されている。高校生・大学生といった即戦力へのアプローチのみならず、小中学生や保育園・幼稚園児を対象とした体験学習に見学会。しかし、就いた若者が数年で去ってしまうのではやりきれない


▼「給料」「休日」「希望」の新3K。行うは難しだが、産業間の人材獲得競争が厳しさを増す中、これを成し得なければ、業界に明るい未来はない。そういえば彼女が建設業を志したのは瓦職人の父親の影響だった。わが子を同じ道に進ませたい。誰もがそう思える産業にすることが今求められている。(茨城・EM)


厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら