コラム

2017/12/20

真に熟練者は不要か(埼玉・HK)

真に熟練者は不要か


▼カメラを内蔵したスマートフォン(スマホ)が普及する一方で、ハードウェアのカメラの販売台数は落ち込んでいるという。簡易的かつ、それなりに高い品質の写真が撮れる上、パソコンを介さずデータをやりとりできるスマホがあれば、かさばるカメラはもはや必要ないということか。今はデジタル一眼レフカメラ愛好者だが、近い将来「スマホのカメラで十分」などと一蹴されてしまうかもしれない


▼良し悪しはともかく、一眼レフを駆使した撮影は被写体や構図の決定からシャッターを切るまで、絞り・シャッタースピード・感度などについて意思決定を求められる点で、スマホとは異なる。極論を言えば設定をシステムに一任し、シャッターを切るだけで撮影できるなら、撮影者を選ばないということになる


▼従来、人が担っていた作業を機械やシステムが受け持つ図式は、建設業におけるICT技術の活用と似ている。土工の起工測量から完成検査までの建設生産プロセスにICT技術を活用した場合、各段階で省力化が図られる。とりわけ施工においては作業員が3分の1程度で済む一方、重機の日当たり施工量については約1・5倍になるとされている


▼高齢化が進み、担い手不足に直面している建設業界にi-Constructionの推進が不可欠という考えには大いに賛同するところだが、熟練技術者・技能者不足の解消にもつながるとうたわれている点については一抹の疑問が残る


▼現場で求められる臨機応変な行動・判断や災害対応には豊富な経験から導かれる意思決定が不可欠と考えるが、真に熟練者は不要になるのだろうか。(埼玉・HK)


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