コラム

2018/02/15

おかげさまの毎日(山梨・HK)

おかげさまの毎日


▼数年前の晩秋。実家から最も近い日本百名山に登った帰り道。カラマツ林の間を縫う登山道は黄金に輝く葉で埋まり、疲労感をにじませて歩を進める両足に、極上のじゅうたんをしのぐ感触を与えてくれた思い出がある


▼駅から支局へ向かう大通りには、仰ぎ見る立派な街路樹が数多く整備されている。街路樹の効用としては、景観向上や目隠し、騒音低減などがある。加えて降雪や強風対策といった防災面の役割も担っている。何よりコンクリートやアスファルトに囲まれた中で、日々仕事に忙殺される現代人にとっては、オアシス的存在とも言えるのではないだろうか


▼春は新緑に心を洗われ、夏の日差しを遮るとともに息つける涼しさを与えてくれる。そして秋。鮮やかに思い思いの彩りで着飾り、行き交う人々の目を和ませるものだ


▼そして落葉。ひらひらと舞い落ちる姿に過ぎ行く秋を重ねセンチメンタルな気分に浸り、北風とともに渦を巻きながら足元に絡みつくさまは愛おしささえ覚える。冒頭の大地とは違う人工物の上とはいえ、歩く度にカサカサと鳴る落ち葉のささやきもまた一興


▼しかし、葉が積もるに従い、その柔らかさが増す山中と違い、街路樹の落ち葉は放っておくわけにはいかない。駅から延びる大通りも、その時期になると竹ぼうきを手にしたボランティアや通り沿いの役所や企業のスタッフでにぎわう。日頃、剪定などの管理業務を請け負う造園業者の尽力は言うに及ばず、日常の安らぎは誰かしらのおかげであると心に留めておかねばなるまい。目に鮮やかな造形美や奇跡の感動を与えてくれる大自然とともに。(山梨・HK)


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