コラム

2018/02/20

入りにくいかもしれないが(山梨・OS)

入りにくいかもしれないが


▼ふと建設業を思わせる出来事だった。知人の女性と久しぶりに芝居を見に行った。夕食を食べて帰ることになり、ある定食屋に行くことに。知人はその店に行くのは初めて。「どんなところなの?」と聞くので「味はいいけど女性は入りにくいかも」と答えた


▼店に着くなり知人は、じっと店の外観を見て「なるほど」とひと言。中をのぞくと客は全部男性だった。店内には漫画や雑誌が並び、部屋の角の高いところにはテレビがあった。メニューを見るとやたら品数が多かったのを思い出す。その中から二人とも野菜炒め定食を注文した


▼知人は少し落ち着かないよう。「一人では入れないかも」とキョロキョロしている。「でもおいしいから」と言うと、うんうんとうなずいた。食後に感想を聞くと「確かにおいしかった。でもやっぱり入りにくい」と。味はもちろんだが、店の見た目や雰囲気、客が男性ばかりなのも気になるという


▼建設業はまだまだ男の世界。「ものづくりは楽しい。ぜひ女性も」とはいうものの、長年の3Kイメージ払拭(ふっしょく)にはまだ道のりは遠い。きれいなトイレや格好良い作業着、充実した福利厚生、女性の仕事仲間。さらに非力な女性でも活躍できる確固たるポジションも必要だ


▼すぐには難しいが現場に女性が大幅に増えることになれば業界の空気は確実に変わる。女性ならではの雰囲気や目線、技術。それらを生かし現場で輝く姿は3Kのイメージを吹き飛ばすだけのパワーを秘めるだろう。「あの女性の仕事はすごい」。見る人を魅了する、すご腕の女性技術者・技能者たちが建設業に新たな光をもたらす。(山梨・OS)


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