コラム

2018/02/23

星が降るような街(埼玉・YM)

星が降るような街


▼会社からの帰り道や自宅で夜空を見上げることがある。知っている星座はせいぜいオリオン座や北斗七星ぐらいだが、星を眺めていると心が落ち着く。出身地は山が近く照明が少ないこともあり、夜になると星がよく見えた。田舎だったが、田舎なりに満足する瞬間だった


▼星がきれいに見える特等席といえば、標高3000mを超える山の頂だろう。氷点下近い山頂付近でテントを張って、コーヒーを飲みながら夜空を見れば、数多(あまた)の星を堪能することができる。これほどぜいたくで心が落ち着く時はない。星を眺めるようになったのは山で見た星に感動したからだ。そんな星空を街に戻っても見たいと思うようになった


▼地元から都心に引っ越してきて、会社の帰り道に空を見る。見えるのは星ではなく街路灯がほとんどだ。冬になるとイルミネーションが街のあちこちで見られるようになり幻想的な光を放っている。とてもきれいであり、街を彩るには欠かせない。ネオンによって眠らない街も悪くないと思う


▼電車が大宮を過ぎ北に向かって走行していくと、徐々に地元のような風景が広がる場所がある。都会から1時間もしないうちに辿(たど)り着けるその場所は、帰り道に通ると安らぎを与えてくれる


▼人工的な明かりは現代社会に必要だが、そんな時代だからこそ月や星を見る時間や場所があってもいいと思うし、わざわざ山に行かなくても星が降るように見える街があってもいい。都会には都会の、田舎には田舎の良さがある。空気が澄んだ真冬の深夜に望遠鏡を担いで天体観測をするのもぜいたくだと思う。今日はどこからオリオン座を探そうか。(埼玉・YM)


厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら