コラム

2018/04/06

双方向性を確保したい(埼玉・UT)

双方向性を確保したい


▼「甲」と「乙」。契約書の中ではおなじみの表記といえる。冒頭に当事者の一方を示した上で「以下、甲という」などの記述が一般的だろう。ただ国土交通省では2010年の契約書改正で「甲」と「乙」を「発注者」と「受注者」に変更している。背景には、発注者が受注者よりも優位といったニュアンスをなくしたいという考えがあった


▼発注者と受注者とのあいまいな責任関係による片務性については、古くて新しい問題と指摘されている。例えば、施工時における無報酬での設計図書修正、履歴が残らない口頭指示による設計変更。施工後であれば、検査をクリアして瑕疵(かし)担保期間も終えた後の無償手直しなど。現在も依然として横行しているとすれば、直ちに根絶しなければならない


▼自身を振り返ってみると、深く長く付き合わせてもらっている人ほど、情報交換など双方向のやりとりが多い気がする。取材で情報をもらうばかりの一方通行ではなくて


▼新聞社と購読者、さらには一記者と一読者との関係性を考えてみた場合、交流、双方向性の意識をあらためて持ちたい。何気ない日々の中で、例えばよく問い合わせをしてくれる読者がいる。逆にこちらからお願いをすることもある


▼受発注者間のみならず大半の物ごと、あるいは人と人との関係性においても、一方通行、片務性には、切なさ、やるせなさを感じてしまう。しかし現実にはこうした関係性が多い気もする。極論すると、双方向性の確保は奇跡といえるのかもしれない。例え奇跡を起こすことに匹敵するくらい難しいことだとしても、双方向、双務性の確保を志向し続けたい。(埼玉・UT)


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