コラム

2018/04/11

地図を振り返る(群馬Y・T)

地図を振り返る


▼掃除中、自動車免許を取り立ての時に買った10年ほど前の地図が見つかった。懐かしさとともに地図を開くと、今は地域幹線として使われている道路に工事中の表示があり、早く完成しないかと心待ちにしていた当時の記憶が蘇った。今はもう無くなってしまった店も載っており、地図を頼りに各地を回った昔を思い出し、すっかり掃除の手が止まってしまった


▼今は紙の地図を使うことも減り、カーナビを頼りに運転することがほとんどとなった。見知らぬ土地はもちろん土地勘がある場所への移動でも、思いもよらぬ道に案内されて新たな発見をすることがあり、公私にわたって自動車の運転には欠かせない相棒となっている


▼初めて日本の詳細な姿を明らかにした大日本沿海輿地全図(だいにほんえんかいよちぜんず)(通称伊能図)が完成してから約200年。そしてことしは作成した伊能忠敬の没後200年に当たる年だ。意外なことに忠敬が測量に使用したのは、その時代よく使われていた誤差が大きい技術。そうした方法でも伊能図が正確に完成した理由は、さまざまな測量法を組み合わせて工夫し、17年かけて丁寧に測量を続けてきたためだ


▼時代が進んで現代。ネットであれば国内はおろか、海外の知らないまちの風景まで誰もが簡単に見ることができ、技術の進化具合がよく分かる。さらには車の自動運転に向けた高精度の3次元地図の整備が始まっており、地図の進化はこれからも止まらない


▼道路や建物の状況は変化し続けるため、地図には常に情報の新鮮さが求められる。たまには振り返り、消えてしまったものを探すために地図を見るのもいいのではないか。(群馬・YT)


厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら