コラム

2018/04/14

かるたを侮ることなかれ(東京・KK)

かるたを侮ることなかれ


▼正月の代表的な遊びである「かるた」が注目されている。知育効果があるとされ、定番の百人一首以外にも人気キャラクターが登場するかるた、学習かるた、読み上げCDが付属している商品もある。また畳の上の格闘技と呼ばれる競技かるたを題材にした少女漫画が原作の映画『ちはやふる』は最近3作目が公開され、大ヒットを記録した。かるたの人気は侮れない


▼土木学会が3月に日本初の「土木偉人かるた」を発売した。48人の土木偉人と代表する構造物を絵札にすることで、功績と魅力をかるたで楽しく学ぶことができるのが特長。近代化が急速に進んだ明治期に、日本の国づくりに貢献した外国人技術者6人を含む24人が中心だが、歴史の教科書に登場する誰もが知る有名人も多い


▼例えば奈良時代の僧侶で、唐へ渡り新しい仏教だけでなく土木工事も学び、香川県の満濃池改修を手掛けた空海。道路や河川などの都市基盤を整備し、江戸を世界的な水辺都市に変えた徳川家康、熊本城の築城に加えて治水の達人でもあった加藤清正といった戦国武将も土木偉人として登場する


▼個性的な建築物を設計する建築家と比べ、世間に名前が知られている土木技術者は少ない。最近は土木構造物に銘板を設置する取り組みも始まったが、広く認知されるためには今後の地道な活動が不可欠だろう


▼土木偉人かるたを通じて多くの人々が土木に興味を持つことは歓迎すべきこと。ゲーム感覚で楽しみながら偉業を学べるのであれば一石二鳥だ。ただ、たとえゲームであっても競技かるたのように偉人の絵札を強く叩き合うことは控えてもらいたいのだが。(東京・KK)


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