コラム

2018/05/31

待遇改善の一歩を(茨城・TI)

待遇改善の一歩を


▼運送業界では運賃の値上げやサービスの見直しなどが広がりを見せている。2017年後半からヤマト運輸や佐川急便が大規模な運賃の値上げを行い、ことし3月には日本郵政も一部改定した。慢性的な人手不足における労働環境の改善が主な目的だ。社員を守るため、根本的な運賃やサービスの改善は避けては通れない問題なのだろう


▼先日とある運送会社の社長と話した時、こうした運賃の値上げ交渉が少しずつ波及していると聞いた。「簡単に答えが出る話ではない」と、荷主と運送会社のどちらにも事情や状況があるとも


▼一労働者の目線として、モチベーションの一つとなるのが給料であることは確かだ。前述のヤマト運輸の宅急便の値上げについても、宅配ネットワークを維持する上で、担い手であるドライバーたちの給料を含む労働環境を改善するものとされる。業界大手がけん引したからこそ、そのほかの各社にも波及する流れが実現したのだ。依然として安価で請け負う業者は一時的に残るのだろう。しかし安かろう悪かろうと言われるように、今後そうした業者が生き残っていけるとは思えない


▼担い手不足が続く建設業界も同様の問題を抱える。ただ労働者の待遇改善として給与水準を引き上げるには、その分の原資をどうやって用意するのかという問題が生じる。簡単に捻出できるものではない。下請けだけで取り組むのが難しいならば、元請けや発注者を含め業界全体で健全な方向へ変えていく必要がある


▼隣の芝は青いと言うが、運送業界の待遇改善の流れを他の業界にも広げることができればと思う。その一歩を誰が踏み出すのか。(茨城・TI)


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