コラム

2018/05/11

何のために働きますか(埼玉・KK)

何のために働きますか


▼顎の痛みに耐えきれず、先日、近所の歯医者に駆け込んだ。顎(がく)関節症。文字通り、顎の関節にずれが生じて痛みが出る症状だ。学生時代にも経験があり、医者の診断は予想通りのものだった


▼その診察時のこと。顎の検査に入る前、なぜか頼んでもいない歯のレントゲン検査と歯科検診が始まった。さらに虫歯は無いはずなのに、保険適用外の虫歯治療の紹介まで。「保険の範囲内で顎だけを治してほしい」と受付で伝えていたのだが。結局、虫歯は確認されず、会計時にはきっちりレントゲン代と検診代が含まれた、まあまあな額の請求書を手渡された


▼病院の決まりごとだったのかもしれないが、説明もないまま、依頼していないことをされてお金を取られたのでは、なんだか納得がいかなかった。本題の顎はというと「悪化すれば大学病院に行く必要性も」とさんざん脅かされた割に、矯正器具を数日着用しただけで寛解(かんかい)。腑(ふ)に落ちない気持ちだけが残った


▼仕事には本音と建前がつきものだ。「社会のため」と表向きには言いつつも、自分や家族の生活のため、お金を稼ぐために働いているのは当然のこと。しかし、商品や技術、サービスなどを必要とし買ってくれる存在がいるからこそ、成り立っているのもまた事実だ


▼たとえ建前だとしても、そうした存在と真摯(しんし)に向き合うことが、利益を生むことにつながるのだと思う。一方で、本音が前面に出過ぎると相手は興ざめする。いくら立派な建前を並べても薄っぺらな言葉に感じてしまう。そういえば、診察前に「当院では患者様がご納得いただいた上で治療を行っています」とだけは言われたなぁ。(埼玉・KK)


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