コラム

2018/05/29

発注者と受注者の積算ミス(埼玉・SW)

発注者と受注者の積算ミス


▼同じ日の記者発表で、似たような内容のものがあった。入札における積算ミス。あってはならないことだが、人間がやっていることなので、完全に防ぐことは不可能だろう。ただし、2件は着地点が異なる


▼一つは発注者による積算ミス。契約締結済みの設計業務で、予定価格を過大に積算。落札決定に影響があり適正な契約相手方の決定がなされていないと判断し、双方合意の上で契約を解除したという。積算については常日頃より注意を払っているが、より一層のチェック体制強化を図り再発防止に努めるとしている


▼もう一つは受注者の積算ミス。建物の耐震改修工事で、調査基準価格を下回る入札額だったことから、低入札価格調査の資料提出を依頼したところ、積算の誤りを理由に資料提出を辞退する旨の文書が提出された。「有資格業者が調査を辞退したことは信頼関係を著しく損なう行為」とし、同社には2カ月の指名停止措置が課された


▼両案件ともその後の記者発表はないものの、積算ミスで発注者が再発防止に努めるのは当然として、担当者はペナルティーを受けたのだろうか。発注事務所の円滑な業務進捗(しんちょく)はもとより、受注者の業務にも影響を与えたことは免れず、受注者として発注者との信頼関係を著しく損なったのは間違いない


▼また「双方合意の上」とはしているが、現実的に受注者が合意しないことは考えにくく、いわゆる忖度(そんたく)が働いたのだろう。仮に合意しなかった場合、今後の受注活動に影響が出る可能性があるのは想像に難くない。同じ積算ミスながら、異なる着地点。受注者と発注者の関係は、本当に対等なのだろうか。(埼玉・SW)


厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら